まず言葉の整理から。絶縁物 とは、電線の芯(銅線)を包んで電気が漏れないようにしている被覆のことです。この絶縁物は熱に弱く、最高許容温度 =「この温度までなら傷まずに使ってよい」という上限が、材料ごとに決められています。試験で問われるのはこの上限の数字だけ。中心になるのは2つの型 です ── ①並んだ電線の中で最も高い のを選ぶ、②IV電線の温度 そのものを答える、です。
🗺️ この論点の地図
「絶縁物の最高許容温度」を正面から問う問題で中心になるのは、次の2パターンです。
「最も高いものは」(5回) :4本の電線を並べ、いちばん熱に強いものを選ぶ。答えはいつも
CV (架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)。
「IVは何℃」(5回) :600V ビニル絶縁電線(IV)の温度を数字で答える。答えはいつも
60℃ 。
この2つは、下でつくる
1本の階段 から両方こぼれ落ちてきます。まず階段を組み立てましょう。
① 主役の図:温度の「階段」を1本つくる
この論点の背骨がこの図です。よく出る電線を、最高許容温度の低い順 に左から並べると、きれいな階段になります。60℃ → 75℃ → 90℃ と、ちょうど15℃ずつ 上がっていきます。そしてもう一段、けた違いに上の約250℃ にMIケーブル (無機物で絶縁した特殊なケーブル)がぽつんと立っています。
℃
60℃
IV
VVR
75℃
HIV
EM-EEF
90℃
CV
👑 4本の中では最強
+15
+15
約250℃
MI
ケーブル
別格
ここは
けた違い
60℃(IV・VVR)→ 75℃(HIV・EM-EEF)→ 90℃(CV)と15℃ずつ の階段。MIだけは約250℃で別格です。試験でよく問われるのは、この階段の両端 ——いちばん下のIV(60℃)と、CV(4本の中で最も高い90℃)です。
試験で温度を問われるのは、この6種だけ
参考書を開くと、絶縁電線とケーブルが何種類も並んでいて、全部覚えるのかと身構えます。でも温度 を正面から問う過去問で、選択肢と正解に出てくる電線記号は、下の6種だけ です。
記号 最高許容温度 選択肢に登場 正解になった
IV 60℃ 5回 —
VVR 60℃ 5回 —
HIV 75℃ 5回 —
EM-EEF 75℃ 単独問題で2回 2回
CV 90℃ 5回 5回
MI 約250℃ 2回 2回
逆にいうと、参考書に「絶縁電線+ケーブル」で13種類ほど載っていても、温度を問う問題に記号では一度も出てこない電線が7種 あります──EM-IE・VVF・VCT・RB・DV・OW・CT。だから温度対策としては、上の6種だけ押さえれば足ります。
🎯 網羅して覚える、ではなく
この表の主旨は「
出たものだけ深く 」です。電線の一覧を端から暗記するのではなく、実際に温度で問われた6種に絞る。残り7種は温度の問題に記号では出てこないので、ここでは追いかけません。
なぜこの順番になるのか(材料で決まる)
数字を丸暗記する前に、順番の理由 をつかんでおくと崩れません。温度を決めているのは絶縁物の材料 です。
ビニル(IV・VVR)=60℃ :いちばん身近なビニル被覆。安いぶん熱には弱く、階段の最下段。
二種ビニル・エコ電線(HIV・EM-EEF)=75℃ :HIVは名前のとおり耐熱 タイプのビニル絶縁電線。ふつうのビニルより一段上。
架橋ポリエチレン(CV)=90℃ :ポリエチレンの分子どうしを橋渡し(架橋) してつなぎ、熱に強くした材料。よく使うケーブルの中では最も高い。
無機物(MI)=約250℃ :金属シースの中を鉱物(酸化マグネシウム)で絶縁したもの。そもそも燃えにくいので、けた違いに強い。
Step0:問題は2種類しかない。 「最も高いのは?(=CV)」と「IVは何℃?(=60℃)」。計算は一切なし。
頭に階段を思い浮かべる。 60(IV・VVR)→75(HIV・EM-EEF)→90(CV)、そして別格の250(MI)。
問われた電線が、階段のどの段かを当てる。 材料で決まる——ビニルは下、架橋ポリエチレンは上。
その段の数字を読むだけ。 「最も高い」なら4本のうち上の段(CV)、「IV」なら最下段(60℃)。
② 「最高許容温度が最も高いものは?」
並ぶ4本は、いつもHIV・IV・CV・VVR の顔ぶれです。階段に当てはめると——IVとVVRが60℃、HIVが75℃、そしてCVが90℃ 。この4本の中ではCVが最上段 なので、答えはいつもCVです。
60℃
IV
60℃
VVR
75℃
HIV
90℃
CV 👑
最高
4本を階段に載せると、CV(90℃)がいちばん上。IV・VVRは同じ60℃、HIVは75℃。だから「最も高いものは?」の答えは、毎回CVです。
🔥 記号(イロハニ)で覚えると裏切られる
この型で気をつけたいのは、
正解の記号が年によって動く ことです。過去の並べ方を見ると、CVは「ハ」だったり「ニ」だったり「イ」だったり。だから
「答えはイ」といった暗記は効きません 。覚えるのは記号ではなく
中身=CVが最上段 。並んだ4本からCVを名前で拾えば、記号が入れ替わっても迷いません。
✓ CV(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)… 90℃で最上段 ✓
- HIV(二種ビニル絶縁電線)… 75℃。耐熱型だがCVには届かない ✗
- IV(ビニル絶縁電線)… 60℃。最下段 ✗
- VVR(ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)… 60℃。IVと同じビニルで最下段 ✗
CV = 90℃
4本(HIV・IV・CV・VVR)の中で最も高いのは、いつもCV。記号は年ごとに動くので、名前でCVを拾う
③ 「IV電線の最高許容温度は?」
今度は数字そのものを答えます。IV(ビニル絶縁電線)は階段の最下段=60℃ 。これだけです。ただし選択肢の作り方に年による違い があり、そこがこの型の唯一の注意点です。
選択肢の並び 正解 まぎれ込ませてある"わな"
30 / 45 / 60 / 75 60℃ 75℃(HIVの温度)を上に置いて迷わせる
45 / 60 / 75 / 90 60℃ 75(HIV)も90(CV)も本物の温度 。階段の他の段をまるごと並べてくる
新しい年の並び(45 / 60 / 75 / 90)が、いちばんいやらしい形です。75も90も、他の電線では実在する正しい温度 だからです。「温度っぽい数字」で選ぶと引っかかります。ここで効くのが階段——IVは最下段だから60℃ と分かっていれば、他の段(75・90)に手が伸びません。
45
存在しない数字
60
IV = 正解 ✓
75
HIVの温度(わな)
90
CVの温度(わな)
「温度っぽい数字」で選ぶと、他の段に連れていかれる
75も90も、他の電線では正しい温度。だから「なんとなく」で選ぶと危ない。IVは階段の最下段=60℃、と決め打ちすれば迷いません。
- 30 / 45 … 階段のどこにも無い数字。ダミー ✗
✓ 60 … IV(ビニル絶縁電線)=最下段。これが正解 ✓
- 75 … HIV・EM-EEFの温度。1段上と取り違えさせるわな ✗
- 90 … CVの温度。最上段と取り違えさせるわな ✗
IV = 60℃
IVは階段の最下段。まぎれ込む75・90は「他の電線の本物の温度」なので、数字の見た目では選ばない
④ 覚える核は、これだけ
🔑 60スタートで15℃ずつ + 別格のMI
暗記する数字はバラバラに4個ではありません。
60 → 75 → 90 は「15℃ずつ」の階段 と読み替えれば、覚えることは
「60から15ずつ」1つ にまとめられます。あとは各段に電線を割り振るだけ。
・
60℃ =IV・VVR(ふつうのビニル)
・
75℃ =HIV・EM-EEF(耐熱ビニル・エコ電線)
・
90℃ =CV(架橋ポリエチレン)
・
約250℃ =MI(無機物・別格)
💡 フックの一案:HIVの「H」=耐熱(Heat)
IVより一段熱に強いのがHIV。頭の
H を「Heat=熱に耐える」と読み替えると、「HIVはIVより上(60→75)」の向きが自然に出てきます。これは丸暗記を減らすための覚え方の一案です。数字(15℃ずつ)が理屈で厳密に出るわけではないので、
刻みはここだけ割り切って覚える のがおすすめです。
⑤ 答え合わせ表(隠す → タップ/クリックでめくる)
下のボタンで答えを隠して 、階段を言えるかセルフチェック。セルをタップ(クリック)すると、その1つだけ答えが出ます。あやふやになったら、毎回ここに戻ってきてOK です。
👀 答えを表示 / 隠す(温度の階段)
※はじめは隠れています。
問い 答え
IV(ビニル絶縁電線)の最高許容温度は? ? 60℃(階段の最下段)
VVR(ビニルシースケーブル丸形)は? ? 60℃(IVと同じビニル)
HIV(二種ビニル絶縁電線)は? ? 75℃(H=耐熱で1段上)
EM-EEF(エコ電線)は? ? 75℃(HIVと同じ段)
CV(架橋ポリエチレン絶縁)は? ? 90℃(よく使う中で最上段)
4本並んで「最も高いのは?」の答えは? ? CV(90℃)。記号は年で動く
MIケーブルは?(別格) ? 約250℃(無機物でけた違い)
まずは上の2行(IV・VVR=60℃)とCV=90℃を反射で言えるように。
🧠 今日のまとめ
① 背骨は
温度の階段 :60(IV・VVR)→ 75(HIV・EM-EEF)→ 90(CV)、別格で250(MI)
② 覚えることは
「60から15℃ずつ」1つ 。あとは各段に電線を割り振るだけ
③ 「最も高いものは」=並ぶ4本(HIV・IV・CV・VVR)の中では
いつもCV(90℃) 。記号は年で動くので
名前で拾う
④ 「IVは何℃」=
最下段の60℃ 。まぎれる75・90は他の電線の本物の温度なので、数字の見た目で選ばない
温度の出題はこの2パターンが中心。階段を1本つくれば、両方まとめて解けます。
☕ 余談(読まなくてOK)
🔧 現場では?(コラム)
ここから下は試験の外の話です。 使う電線は現場や施工内容で変わります。「これも試験に出る」という意味ではありません。
試験で温度が問われる6種(IV・VVR・HIV・EM-EEF・CV・MI)と、現場でよく使う種類は、そのまま重なるわけではありません。たとえば
VVF・CT・VCT は現場ではおなじみですが、
温度問題には出てこない ので、あくまで現場の定番として読んでください。
まとめると──
試験は「温度で問われる6種」を覚えれば足ります 。現場の定番はまた別、という整理です。試験と現場が少しズレているぶん、かえって記憶に引っかかるかもしれません。