建物の幹線(大もとの太い電線)から、部屋のコンセントへ向かって細い枝(分岐回路)が伸びています。枝は幹線ほどの大電流には耐えられないので、枝には枝専用の小さい遮断器を付けます。この論点は「その遮断器を幹線からどれだけ離して置いていいか、離すなら枝は何A分の太さが要るか」 という話です。平成21年度〜令和7年度下期の過去問のうち24回 で出題されている、出題頻度の高い論点です。
⚠️ 数字そのものは規程の「決めごと」。割り切って覚える
枝を守る遮断器が幹線の根元から遠いほど、その途中で事故が起きたときに守られない区間が長くなります。だから「遠くに置くなら、枝そのものを太くしてカバーしなさい」という規程です。3m・8m・35%・55%という数字そのものは電気設備の技術基準の解釈で決められた値で、物理からは導けません。理屈で覚えるのは
「遠いほど厳しく」という向きだけ ——近い→自由、中くらい→35%、遠い→55%。この順番だけ押さえれば、あとの4つの数字は割り切って覚えます。
ルール全体を1枚にすると、この3本の枝になります。①3m以下ならそのまま置ける(太さ自由) /②太さがIBの35%以上なら8mまで /③55%以上ならどこでもOK 。左から右へ、遠いほど太くなる、この順番だけの話です。
🌶️ 覚え方の一案:「3mまで自由、遠いほど厳しく35→55」
刻みは
3・8 、割合は
35・55 。近い順に「自由 → 35% → 55%」と厳しくなる、この順番だけ覚えれば、あとは3mと8mで区切るだけです。定番のゴロがあるわけではないので、自分の言葉で言い換えて覚えるのがおすすめです。
出題パターン①——電流の最小値を聞かれたら(距離の帯→割合を掛ける)
📄 試験ではこう聞かれます
「定格電流100Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、
6mの位置 に過電流遮断器を施設する。分岐点から遮断器までのa-b間の電線の
許容電流の最小値 は」
出典:平成27年度上期 第二種電気工事士筆記試験 問9/平成30年度上期 第二種電気工事士筆記試験 問9/令和元年度上期 第二種電気工事士筆記試験 問9/令和7年度上期 第二種電気工事士学科試験 問9(4回とも同じ問題。問題文を要約)
🗣️ 問題文のほんとうの意味
「6mの位置に小さい遮断器を置くなら、枝はどれだけ太くないとだめか」 。6mが表のどの帯かを見て、幹線遮断器の100Aに割合を掛けるだけです。
低圧屋内幹線
B
100A
分岐点
6m
(3m超8m以下)
a
b
遮断器
100A × 35%
35A 以上
枝(a-b間)の長さは6m=3m超8m以下の帯 。よって枝の許容電流は「幹線遮断器100A の35%以上」。最小値は100×0.35=35A 。上の問題の図をもとに、説明用に描き直したもの(一部改変)
分岐点→遮断器 = 6m → 3m超8m以下 の帯 → 35%
最小の許容電流 = 100 × 0.35 = 35A
35 A
100A ×0.35 = 35A(答え:ロ)。距離6mの帯を読み取れれば、掛け算1回
ロ 35A … 100×0.35 ✓
イ 25A … 帯を読み違え、35%より低い割合で見積もった値
ハ 45A … 中間の値。割合の当てどころを外した値
ニ 55A … 8m超の55%ルール を当ててしまった値。距離の帯を1つ取り違えた
出題パターン②——長さの最大値を聞かれたら(割合→どのラインを超えるか)
📄 試験ではこう聞かれます
「定格電流50Aの配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線から、
許容電流42Aの電線 で分岐する。分岐点から遮断器までの
長さの最大値 は」
出典:平成29年度上期 第二種電気工事士筆記試験 問10/令和5年度下期 第二種電気工事士学科試験(午前)問9/令和5年度下期 第二種電気工事士学科試験(午後)問9(3回とも同じ問題。問題文を要約)
🗣️ 問題文のほんとうの意味
今度は逆向きです。
「この太さの枝なら、遮断器はどこまで遠くに置けるか」 。先に割合(枝÷幹線遮断器)を出して、35%・55%のどのラインを超えているかを見ます。
割合 = 枝の許容電流 ÷ 幹線遮断器 = 42 ÷ 50 = 0.84 (=84%)
84% は 55% 以上 → 8m超の帯まで満たす=距離の制限なし
42Aは50Aの84%。これは55%以上 なので、いちばん厳しい「8m超」の条件までクリアしています。つまり距離をいくら伸ばしても条件を満たすので、答えは「制限なし」。
制限なし
42÷50=84%(≧55%)→ 距離を問わず条件クリア(答え:ニ)
ニ 制限なし … 84%は55%以上なので、8m超の帯でもOK ✓
ハ 8m … 55%ラインぎりぎりと誤解し、8mで頭打ちにした値
ロ 5m … 35%ラインで止めた値
イ 3m … 割合を出さず、いちばん手前の「3m以下」に当てた値
🔑 電流を聞かれたら「距離」から、距離を聞かれたら「割合」から
同じ表を、向きを変えて2通りに使います。
枝の電流の最小値を聞かれたら →まず距離の帯を見て割合をかける。
距離の最大値を聞かれたら →まず割合(枝÷幹線)を出して、どのラインを超えるか見る。表は1枚、聞かれ方が2つです。
力試し——図の空欄を、自分で埋められるか
仕上げです。下の図はさっきの全体図と同じもの——ただし覚えるべき数字と条件が「?」で隠れています 。チップをタップ(クリック)すると答えが出ます 。ノーヒントで全部言えたら、この論点は仕上がりです。
「?」のチップをタップ(クリック)すると、その場所の答えだけが出ます。答えをもう一度タップ(クリック)すると「?」に戻ります 。過去の出題は、この図のどこかの数字・条件を差し替えたり、そのまま聞いたりする形の繰り返しです。
🧠 今日のまとめ
① 枝を守る遮断器が幹線の根元から遠いほど、枝そのものに太さを要求される
② 距離は
3m/8m で区切り、近い順に「自由 → 35% → 55%」と厳しくなる
③
電流を聞かれたら距離から割合を、距離を聞かれたら割合からラインを 読む。表は1枚、聞かれ方が2つ
過去問で繰り返し出ている論点です。表1枚を、向きを変えて使えるようにしておきましょう。